HRT周期での凍結融解胚移植における黄体ホルモン投与開始日の投与方法の違いが胚移植日のE2およびP4に与える影響 (第61回 日本生殖医学会)
新井 千登勢、吉貝 香里、松田 有希野、浅井 菜緒美、中野 英子、澤田 富夫

目的

HRT周期下での凍結融解胚移植における黄体ホルモン補充は、胚の着床および妊娠維持に必須である。当院ではHRT周期での凍結融解胚移植において、卵胞ホルモン投与後十分な子宮内膜厚が確認できれば、黄体ホルモン補充を注射あるいは膣坐薬によって開始し、その後移植日までは膣坐薬により黄体ホルモンを補充する。そこで今回は黄体ホルモン投与開始日(D0)の投与方法の違いが胚移植日のE2濃度およびP4濃度に影響を与えるかを検討した。

方法

2015年1月~2016年5月にHRT周期下で凍結融解胚移植を行った528周期、356症例(平均年齢36.4±4.3歳)を対象とした。D0にプロゲホルモン25mg®を使用した注射投与群(I群)と自家製P坐薬300mg又はルティナス®膣錠100mg又はルテウム®膣用坐薬400mgを使用した膣坐薬投与群(S群)の2群間で、胚移植日の血中E2濃度(ng/ml)および血中P4濃度(ng/ml)を比較した。また、妊娠成立群と妊娠不成立群において、2群間で胚移植日の血中E2濃度(ng/ml)および血中P4濃度(ng/ml)に差があるかを検討した。

結果

胚移植日の平均血中E2濃度はI群で289.5±212.7、S群で280.1±138.6であった。さらに、平均血中P4濃度はI群で12.6±5.5、S群で12.6±6.1であり、血中E2濃度および血中P4濃度ともに両群で有意差を認めなかった。また、妊娠成立群の平均血中E2濃度はI群で313.6±247.8、S群で265.8±147.8、平均血中P4濃度はI群で12.7±5.2、S群で11.7±4.7であった。妊娠不成立群の平均血中E2濃度はI群で282.9±201.3、S群で284.1±136.6、平均血中P4濃度はI群で12.6±5.6、S群で12.9±6.4であり、妊娠成立群および妊娠不成立群でI群、S群ともに有意差を認めなかった。

考察

HRT周期下での凍結融解胚移植において、D0での黄体ホルモン補充方法の違いが胚移植日のE2濃度およびP4濃度に影響を与えないことが示された。さらに補充方法の違いは妊娠成立にも関係しないことが示唆された。
2016.03.19
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