学会・論文発表一覧

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    2022年

  • The fate of irregularly divided blastomeres: why does “Direct cleavage” reduce blastocyst development rate but not blastocyst euploid rate? (第38回ヨーロッパ生殖医学会(ESHRE))

    Shinichi Watanabe1, Kaori Yoshikai1, Mari Tomida1, Shigenori Suzuki1, Yukino Matsuda1, Shunsuke Miyai2, Eiko Nakano1, Hiroki Kurahashi2, Tomio Sawada1

     

    1 Sawada Women’s Clinic, Nagoya, Japan

    2 Institute for Comprehensive Medical Science, Fujita Health University, Toyoake, Japan

     

    Study question:

    How do the blastomeres formed by direct cleavage (dynamics of one cell dividing into three or more cells) subsequently develop?

     

    Summary answer:

    About half of the blastomeres by direct cleavage did not form blastocysts.

     

    What is known already:

    There are many reports that embryos with direct cleavage in the early development have a lower blastocyst development rate because direct cleavage produces chromosomal abnormal cells. However, when such embryos develop into blastocysts, there have been some reports that the transfer pregnancy rate and euploid rate did not decrease, but the reasons for this have not been clarified.

     

    Study design, size, duration:

    This is a retrospective study of 89 blastocysts obtained during 2013-18.These embryos were those that patients requested to be discarded and consented to be used in this study. All target embryos were time-lapse monitored by EmbryoScope (Vitrolife, Sweden), and several trophectoderms were biopsied and examined for euploidy.

     

    Participants/materials, setting, methods:

    The target embryos were classified into three groups: embryos with normal first and second cleavage (NC group), embryos with irregular division (one cell dividing into three or more cells) called direct cleavage at the first cleavage (DC1 group), and embryos with direct cleavage of one blastomere at the second cleavage (DC2 group). It was recorded whether the blastomeres of the embryos subsequently developed into blastocysts or not. NGS analysis was performed on the embryos.

     

    Main results and the role of chance:

    The target embryos were classified as 48 in the NC group, 32 in the DC1 group, and 9 in the DC2 group. Whether the blastomeres in the target embryos subsequently formed blastocysts or not was recorded one by one by time-lapse images, resulting in the blastomeres’ blastocyst formation rate was 95.1% in the NC group and 55.9% in the DC1 group, which was significantly lower in the DC1 group (P<0.01). In the DC2 group, blastomeres formed by normal division and those by direct cleavage at the second cleavage were recorded separately, and the blastocyst formation rate was 90.8% for normal cleavage blastomeres and 46.0% for direct cleavage blastomeres, with significantly lower rates for direct cleavage blastomeres (P<0.01). Therefore, about half of the blastomeres generated by direct cleavage at the first or second cleavage did not form blastocysts. The results of NGS analysis were as follows: NC group: 35.4% euploid, 45.8% aneuploid, and 18.8% mosaic; DC1 group: 37.5%, 53.1%, and 9.4%, respectively; and DC2 group: 55.6%, 33.3%, and 11.1%, respectively. There was no significant difference in any of the items, suggesting that direct cleavage does not affect the euploidy of blastocysts.

     

    Limitations, reasons for caution:

    For the purpose of NGS analysis, all the target embryos in this study were blastocysts, but if all the cultured embryos were included, arrested embryos would be included, which would probably result in more blastomeres formed by direct cleavage not developing into blastocysts.

     

    Wider implications of the findings:

    The blastomeres generated by direct cleavage were often excluded from blastocyst formation. This may be an exclusion of chromosomally abnormal cells and may be one of the reasons why direct cleavage decreases blastocyst development rate but does not decrease blastocyst euploid rate.

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  • 初期不規則分割は胚染色体解析結果に影響するか -Direct cleavageとReverse cleavage-(第63回 日本卵子学会学術集会(シンポジウム))

    渡辺 真一

     

    胚の動態から妊孕性を推測する試みが数多く報告されているが、我々は特に不規則な初期分割動態に着目している。Direct cleavage(以下DC)と呼ばれる1細胞が3細胞以上に分割する動態が知られており、これによる染色体分配異常が懸念される。発生初期のDCは胚盤胞発生率を大きく低下させる。しかしDCを呈しても胚盤胞に到達した胚であれば移植妊娠成績への影響はないという報告は多い。我々はDCの胚盤胞正倍数性への影響を探るため、患者同意が得られた廃棄胚盤胞を用いて初期動態とNGS解析結果の関連を検討したところ、第二分割まで正常であった胚盤胞と第二分割までにDCが見られた胚盤胞の正倍数率に有意差は見られなかった(2020卵子学会)。

    ではなぜDCは胚盤胞発生率を低下させるのに胚盤胞正倍数性には影響しないのか? 原因を探るべく、我々はDCで発生した割球のその後の「運命」を見ることとした。Day2胚の割球を1個ずつ、その後胚盤胞を形成しているかを観察したところ、第二分割まで正常であった割球は88%が胚盤胞を形成したのに対し、第一分割のDCで発生した割球の胚盤胞形成率は29%であった。加えて、第二分割時に2細胞のうち1個は正常分割だが1個はDCを呈した胚について両者を区別して同様に観察したところ、正常分割割球の胚盤胞形成率71%に対してDC由来割球のそれは34%と概ね同様であり、第二分割までのDCで発生した割球の約7割は胚盤胞を形成していなかった(2020中部生殖医学会)。

    これらのことから、DCで発生した染色体異常細胞はアポトーシスや細胞接着能の欠損等により多くが胚盤胞形成から除外されており、胚盤胞到達後の正倍数性には影響がないことが推測された。実際の移植胚選択においては、DC胚は初期胚移植から除外し、胚盤胞に到達すれば通常通り移植を行うことが推奨されよう。

    初期不規則分割としてもう一つ、Reverse cleavage(以下RC)と呼ばれる一旦分割した細胞が融合する動態が知られるが、RCの胚発生や正倍数性への影響については過去の報告でも意見の一致をみていない。我々も検討を行ったところ、第二分割まで正常分割の胚に比して、第二分割までにRCが見られた胚の胚盤胞発生率と初期胚移植妊娠率は低下したが、胚盤胞移植妊娠率は低下しなかった(本学術集会一般演題にて報告予定)。また、胚盤胞正倍数率は第二分割まで正常であった胚よりRC胚が有意に高いという不可解な結果となった(2020卵子学会)。現在我々はRCについて、正常に分割した割球が融合する「真のRC」と、DCの後に起こる「見かけのRC」があると考えている。これが未だ不明瞭なRCの機序や影響を解き明かす鍵になることを期待している。 閉じる

  • Reverse cleavage胚の詳細な観察と培養・移植成績(第63回日本卵子学会学術集会)

    鈴木篤智、渡辺真一、冨田麻莉、松田有希野、吉貝香里、中野英子、澤田富夫

     

    【目的】

    初期発生における不規則な分割として、一度分割した胚が融合するreverse cleavage(以下RC)と呼ばれる現象が知られているが、発生能や妊孕性への影響は分かっていない。

    今回RC胚を詳細に観察し、胚発生能、妊孕能を検討した。

     

    【対象と方法】

    2016-20年にタイムラプスモニタリングされた胚1137個を対象として、第二分割までにRCが観察された胚をRC群、第一第二分割正常胚を正常群とし、良好胚盤胞発生率(Gardner分類4BC以上)、移植妊娠率を比較した。

    さらに、1細胞が3細胞以上に分割(direct cleavage : DC)した後にRCが観察された胚をDC-RC群、正常分割後にRCが観察された胚をNC-RC群とし、良好胚盤胞発生率を比較した。

     

    【結果】

    初期胚移植妊娠率はRC群14.1%(10/71)、正常群27.0%(79/293)でRC群が有意に低率であった(P<0.05)。胚盤胞移植妊娠率はRC群42.1%(16/38)、正常群39.0%(41/105)で有意差は認めなかった。

    良好胚盤胞発生率は、RC群、正常群ではそれぞれ34.5%(81/235)、66.7%(276/414)でRC群が有意に低く(P<0.01)、DC-RC群、NC-RC群ではそれぞれ37.6%(77/205)、13.3%(4/30)でNC-RC群が有意に低く(p<0.01)、DC-RC群のうち第一分割RC胚では37.2%(54/145)、第二分割RC胚では38.3%(23/60)、NC-RC群のうち第一分割RC胚では0.0%(0/21)、第二分割RC胚では44.4%(4/9)であった。

     

    【考察】

    RCは良好胚盤胞発生率、初期胚移植妊娠率を低下させたが、胚盤胞移植妊娠率を低下させなかったことから、胚盤胞に発育すれば移植可能と考えられた。

    また、正常第一分割後にRCが見られた胚は良好胚盤胞を形成しなかったが、それ以外のRCでは形成が見られており、融合しなかった細胞が胚盤胞発生能を保持していると考えられた。 閉じる

  • 2021年

  • Direct cleavageで発生した割球は胚盤胞を構成するのか(第66回日本生殖医学会)

    渡辺 真一1 吉貝 香里1 冨田 麻莉1 鈴木 篤智1 松田 有希野1

    宮井 俊輔2 中野 英子1 倉橋 浩樹2 澤田 富夫1

    1 さわだウィメンズクリニック 2 藤田医科大学総合医科学研究所分子遺伝学研究部門

     

    【緒言】

    初期分割でDirect cleavage(1細胞が3細胞以上に分割する現象、以下DC)が観察された胚は胚盤胞発生率が低下するが、胚盤胞に到達すれば移植成績および正倍数率は低下しないとの報告が多く見られる。だがその理由は明らかでないため、原因を探るべくDCで発生した割球のその後の発育を観察、検討した。

     

    【対象と方法】

    2013-18年に採卵されEmbryoScope(Vitrolife)でタイムラプスモニタリングされた胚のうち、患者同意を得た廃棄胚盤胞89個を対象とした。第一分割でDCが見られた胚(DC1群)について割球のその後の発育を観察して「分割停止、または分割は進むがコンパクションしない」「胚盤胞化」の2類に分類し、胚盤胞化割球の割合を算出した。第一分割正常だが第二分割で1つの割球にDCが見られた胚(DC2群)、第一・第二分割正常胚(正常群)の割球も同様に分類して比較した。対象胚にはTE生検・NGS解析を行った。

     

    【結果】

    胚盤胞数はDC1群32個、DC2群9個、正常群48個であった。

    割球の胚盤胞化率はDC1群55.9%、正常群95.1%で、DC由来割球の胚盤胞化率は有意に低かった(P<0.01)。

    またDC2群における割球の胚盤胞化率はDC由来割球46.0%、正常分割割球90.8%で、DC由来割球の胚盤胞化率は有意に低かった(P<0.01)。

    NGS解析結果はDC1群:正倍数性37.5%、異数性53.1%、モザイク9.4%、DC2群:それぞれ55.6%, 33.3%, 11.1%, 正常群:それぞれ35.4%, 45.8%, 18.8%で、いずれの項目も有意差はなかった。

     

    【結論】

    第二分割までのDC由来割球のおよそ半数が胚盤胞を構成しなかった。これはDCで発生した染色体異常細胞の除外と考えられ、DCが胚盤胞発生率を低下させるが胚盤胞の正倍数率を低下させない理由の一つであると推測された。

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  • Evaluation of artificial intelligence using time-lapse images of IVF embryos to predict live birth(2021年5月 Reprod Biomed Online)

    澤田祐季1  佐藤剛1  長屋雅士2  齋藤知恵子1  吉原紘行1  伴野千尋1  松本洋介1

    松田有希野3  吉貝香里3  澤田富夫3  浮田宗伯2  杉浦真弓1

    1名古屋市立大学大学院医学研究科 産科婦人科学

    2豊田工業大学大学院工学研究科 知能情報メディア研究室

    3さわだウイメンズクリニック

    【目的】

    近年、形態学的な評価に加えてタイムラプスシネマトグラフィ(TLC)を用いた動態学的評価も用いられているが、現状、生児獲得に至る胚を十分には予測できていない。PGT-Aに関しては、胚生検により胚にダメージを与えてしまう可能性も示唆されている。そこで我々はTLCにより得られた胚画像を、人工知能:AIによって解析することで、生児獲得に至る可能性の高い胚を非侵襲的に選択する方法の確立を目指した。

     

    【方法】

    名古屋市立大学病院及びさわだウイメンズクリニックで生殖補助医療を受け、本研究に同意を得た患者から得た胚を対象とした。AIによる解析は豊田工業大学にて行った。TLC解析にて10~15分間隔で撮影された移植胚470個から、1つの胚あたり約70~700枚、計140000枚の画像を用い、それぞれの画像に生児獲得成功または不成功の正解のみを与えたうえで、ディープラーニングさせた。そして作成されたAIが算出した各画像の成功予測値を加重平均した最終的な各胚の成功予測値で、生児獲得を予測できるかを後方視的に検討した。(AIにおける従来の機械学習は人間が特徴を指定するのに対して、ディープラーニングではAIがデータから自動的に特徴を抽出することができる。)

    ディープラーニングによって作成されたAIの画像認識能力は非常に高いが、どのような特徴を根拠に判断したのかは不明である。そこで我々は判断根拠を可視化できるAttention Branch Networkというネットワークを用い、生児獲得可否に関連する胚の特徴を見出すことも試みた。また良好胚、不良胚に分類し、形態学的な胚評価とAIによる胚評価の関連についても検討した。

     

    【結果】

    生児獲得成功胚群の方が不成功胚群よりも、採卵時の年齢が有意に低いものの、その他は生児獲得の有無で差はなかった。

    また生児獲得成功胚群の方が不成功胚群よりも、成功予測値が有意に高い結果となった。

    さらに成功予測値の生児獲得を予測する性能を評価するためROC曲線を作成し、算出したカットオフ値よりも成功予測値が高い胚は、低い胚よりも生児獲得胚の割合が有意に高く、さらに成功予測値が上昇するとその割合が増加する傾向も認められた。

    AIが算出した成功予測値による評価と形態学的評価の関連については、一致度を表すkappa係数が低く、二つの評価はほぼ不一致と考えられた。またAIによる評価と形態学的胚評価を併用した場合、それぞれ単独で評価をした場合よりも、陽性的中率、陰性的中率が共に高くなった。

    AIによる評価、形態学的評価がともに良好であった胚を優先的に移植し、形態学的評価が不良でもAIによる評価が良好である胚を移植した方が、生児獲得に至る確率が上昇する傾向にあった。

    AIの判断根拠を可視化したが、AIが生児獲得成功や不成功を予測できた胚に共通する特徴を我々が認識できるまでには至らず、生児獲得の予測に有用な胚の特徴を見出すことはできなかった。しかし、全体を通して透明帯周辺にAIの注目が集まっている画像を多く認めたため、透明帯の厚みを計測し、生児獲得の有無やAIによる胚評価の違いで比較したが、有意差は認めなかった。

     

    【結論】

    これらの結果により、我々が作成したAIが算出した成功予測値は生児獲得の予測に有用であると考えられる。しかしその予測性能は、現在までに報告されているTLC解析によって得られるパラメーターによる生児獲得予測と同程度であり、現時点ではAIと形態学的評価を併用した胚選択法が最も精度が高いと示唆された。また本研究では、生児獲得可否に関連する胚の特徴を見出すことはできなかったものの、AIの評価と従来の形態学的評価の一致度が低かったことから、AIは従来の形態学的評価とは異なる観点で胚評価を行っている可能性が示唆された。

     

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