Short inseminationとタイムラプス観察による前核見逃しの防止と胚の妊孕性の評価(第65回 日本生殖医学会)
松田 有希野、渡辺真一、冨田麻莉、鈴木 篤智、吉貝香里、中野英子、澤田富夫

目的】現在多くのART施設では,媒精後20時間前後でC-IVFの受精確認が行われている.しかし,20時間前後での受精確認では前核消失による見逃しが起きてしまうこともあり,過去の報告でそれは10%程であるとされている.よって,見逃しを防ぎより確実に受精確認を行うため,従来のLong inseminationと今回行ったShort inseminationとタイムラプス観察を組み合わせた新しい確認方法で受精結果に違いがでるか検討した.

【方法】2018年1月から2020年5月の間に採卵し,C-IVFを行った163症例171周期を対象とした.Long insemination(Long群)は媒精から18~19時間,Short insemination(Short群)は媒精から5時間で裸化を行い,タイムラプスモニタリングインキュベーター(EmbryoScope, Vitrolife)での培養を開始した.それぞれの2PN率,不受精率,異常受精率,前核不明率,妊娠率の比較を行った.前核が確認できず,その後分割が見られた胚を前核不明とした.

【結果】Long群,Short群それぞれの受精結果は2PN率57.4%(389/678),67.9%(256/377),不受精率29.2%(198/678),21.0%(79/377),1PN率3.5%(24/678),2.1%(8/377),3PN率7.2%(49/678),9.0%(34/377),前核不明率2.7%(18/678),0%(0/377)であった.Long群と比較してShort群では2PN率が有意に高く,不受精率が有意に低かった.さらに前核不明率もShort群で有意に低かった.また,初期胚移植と胚盤胞移植の妊娠率はLong法で20.3%(16/79),34.2%(13/38),Short法で34.4%(11/32),42.9%(3/7)であり,有意差はなかった.

【結論】Short inseminationとタイムラプス観察の組み合わせでは,前核を見逃すことがなくなったため,2PN率が高率であったと考えられる.また,妊娠率に有意差がないことから,早期裸化による胚への影響もないと思われる.
2020.12.11
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