NGS解析データより胚移植順位の基準を再構築する (2019年 第64回 日本生殖医学会)
吉貝香里1 松田有希野1加藤武馬2 宮井俊輔2 新井千登勢1 鈴木篤智1 冨田麻莉1中野英子1 倉橋浩樹2澤田富夫1
1さわだウィメンズクリニック
2藤田医科大学総合医科学研究所分子遺伝学研究部門

目的
移植に供する胚の選別方法は、Veek分類やガードナー分類を基に、各施設でそれぞれ独自に基準を設けていることが多いと思われる。正倍数胚を移植すると70%程度の高い妊娠率が得られるが、形態学的評価のみでは胚の倍数性までは判定できない。
そこで、NGS染色体解析結果より、倍数性と当院における凍結胚の移植順位の決定付けがどの程度一致しているか後方視的に検討した。

方法
当院にて凍結保存後に廃棄した研究同意胚盤胞114個を用い、NGS染色体解析を行った。
廃棄胚盤胞は、Embryo Scopeで培養した際の画像を後方視的に胚の分割形態や、分割時間、ガードナー分類、胚盤胞径など再検討し、移植優先順位が倍数性と一致しているか比較した。なお当院ではDay2分割期胚凍結を1ないし2個凍結しており、第一分割の時間と分割時の細胞形態を考慮して選別する。廃棄胚盤胞のデータには分割期胚を融解後胚盤胞に至った胚(14個)も含まれる。

結果
正倍数胚、異数胚、モザイク胚はそれぞれ 44.7%(51/114), 44.7%(51/114), 10.5%(12/114)であった。また、分割期胚で融解後胚盤胞に至った胚はそれぞれ64.3%(9/14),21.4%(3/14),14.3%(2/14)であった。ガードナー分類3BB以上の胚76個では正倍数胚、異数胚、モザイク胚は52.6%(40/76),38.2%(29/76),9.2%(5/76)であった。胚盤胞径では、160μm以上の胚70個でそれぞれ52.9%(37/70),34.3 %(24/70),12.9%(9/70)であった。移植順位が2位までになっていた胚61個のうち正倍数胚、異数胚、モザイク胚それぞれ55.7%(34/61),36.1%(22/61),8.2%(5/61)であった。正倍数胚でありながら順位が下位になった胚は第二分割期より遅延しているものが多かった。異数胚で順位が上位であった胚も同様に第一第二分割遅延が認められた。

結論
当院ではDay2胚を凍結する際の選別基準は正倍数胚率が高いことより、現在の基準で選別できていると考えられる。胚盤胞については、ガードナー分類のみでは正倍数率は約1/2であり、その他に胚盤胞径を考慮して順位の決定付けをするのが望ましいと考えられた。
2019.11.12
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