NGS分析を用いた胚発育の後方視的解析 (2019年 第64回 日本生殖医学会)
松田 有希野1)、吉貝 香里1)、加藤 武馬2)、宮井 俊輔2)、新井 千登勢1)、鈴木 篤智1)、冨田 麻莉1)、中野 英子1)、倉橋 浩樹2)澤田 富夫1)、
1)さわだウィメンズクリニック、2)藤田医科大学総合医科学研究所分子遺伝学研究部門
目的
胚の異数性を解析すると、施設間での培養状況や卵巣刺激法の違いにより差異があるという報告がある。さらに、媒精方法や、ICSI施行者の違いによる要因も考えられている。当院で得られた廃棄胚盤胞をNGSによって染色体解析し、胚発育状況を種々の要因で違いがあるか後方視的に検討した。
方法
2009年4月から2018年10月の間に採卵し、患者同意を得られた廃棄胚盤胞75症例142個を使用した。媒精方法、ICSI施行者の違いによる異数性の差異を検討した。NGS解析から、正倍数胚59個(41.5%)、構成型異数胚55個(38.7%)、モザイク異数胚28個(19.7%)であった。構成型異数胚は、患者年齢や卵巣刺激のような培養前の因子に大きく依存することから、正倍数胚とモザイク異数胚のみで検討した。
結果
正倍数胚率とモザイク異数胚率を媒精方法の違いからみると、C-IVFでは71.0%(22/31)、29.0%(9/31)であった。ICSIでは、66.1%(37/56)、33.9%(19/56)であり、C-IVFとICSIで正倍数胚率とモザイク異数胚率に有意差はなかった。また、ICSI施行者による正倍数胚率とモザイク異数胚率は、A者59.1%(13/22)、40.9%(9/22)、B者52.9%(9/17)、47.1%(8/17)、C者83.3%(10/12)、16.7%(2/12)であり、施行者間で有意差はなかった。また、異数性を示す染色体の数が1~2つのモザイク胚と、3つ以上ある複雑なモザイク胚をICSI施行者の違いで差があるか調べたところ、A者77.8%(7/9)、22.2%(2/9)、B者87.5%(7/8)、12.5%(1/8)、C者100%(2/2)、0%(0/2)であり施行者間で差はなかった。
考察
モザイク異数胚の発生率は年齢にかかわらず20%程であり、当院全体でのモザイク異数胚の発生率は同程度である。結果から媒精方法で差はなかったが、ICSI施行者の違いでは有意差はないものの個々で差があるように思われる。裸化やICSIを行う際の手法を見直すことによってモザイク異数胚率を減少させることができるのではないかと思われる。今後、症例数を増やし検討していきたい。
1)さわだウィメンズクリニック、2)藤田医科大学総合医科学研究所分子遺伝学研究部門
目的
胚の異数性を解析すると、施設間での培養状況や卵巣刺激法の違いにより差異があるという報告がある。さらに、媒精方法や、ICSI施行者の違いによる要因も考えられている。当院で得られた廃棄胚盤胞をNGSによって染色体解析し、胚発育状況を種々の要因で違いがあるか後方視的に検討した。
方法
2009年4月から2018年10月の間に採卵し、患者同意を得られた廃棄胚盤胞75症例142個を使用した。媒精方法、ICSI施行者の違いによる異数性の差異を検討した。NGS解析から、正倍数胚59個(41.5%)、構成型異数胚55個(38.7%)、モザイク異数胚28個(19.7%)であった。構成型異数胚は、患者年齢や卵巣刺激のような培養前の因子に大きく依存することから、正倍数胚とモザイク異数胚のみで検討した。
結果
正倍数胚率とモザイク異数胚率を媒精方法の違いからみると、C-IVFでは71.0%(22/31)、29.0%(9/31)であった。ICSIでは、66.1%(37/56)、33.9%(19/56)であり、C-IVFとICSIで正倍数胚率とモザイク異数胚率に有意差はなかった。また、ICSI施行者による正倍数胚率とモザイク異数胚率は、A者59.1%(13/22)、40.9%(9/22)、B者52.9%(9/17)、47.1%(8/17)、C者83.3%(10/12)、16.7%(2/12)であり、施行者間で有意差はなかった。また、異数性を示す染色体の数が1~2つのモザイク胚と、3つ以上ある複雑なモザイク胚をICSI施行者の違いで差があるか調べたところ、A者77.8%(7/9)、22.2%(2/9)、B者87.5%(7/8)、12.5%(1/8)、C者100%(2/2)、0%(0/2)であり施行者間で差はなかった。
考察
モザイク異数胚の発生率は年齢にかかわらず20%程であり、当院全体でのモザイク異数胚の発生率は同程度である。結果から媒精方法で差はなかったが、ICSI施行者の違いでは有意差はないものの個々で差があるように思われる。裸化やICSIを行う際の手法を見直すことによってモザイク異数胚率を減少させることができるのではないかと思われる。今後、症例数を増やし検討していきたい。
2019.11.12
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