NGSによる胚解析からみた染色体異常の発生要因の検討 (第62回 日本生殖医学会)
〇松田 有希野1)、加藤 武馬2)、吉貝 香里1)、浅井 菜緒美1)、新井 千登勢1)、中野 英子1)、倉橋 浩樹2) 、澤田 富夫1)

1)さわだウィメンズクリニック、2)藤田保健衛生大学総合医科学研究所分子遺伝学研究部門

目的

近年、染色体異常の発生は刺激法や胚操作などの外的要因よって左右されるという報告がある。また、施設間での格差がでていることも報告されているため、当院での染色体異常の発生頻度を検討した。

方法

採卵後、IVFまたはICSIにて媒精を行い、正常受精し凍結保存した83個の胚を対象とした。対象とした廃棄胚は患者の同意を得て、研究に使用した。染色体解析の結果は、正倍数胚群、構成型異数胚群、モザイク群、構成型の異常とモザイクを併せ持つ混合群にわけた。検討項目は、患者年齢、刺激方法、媒精方法、ICSI施行者、hMG総投与量とした。

結果

患者年齢は正倍数胚群で32.8±3.8歳、構成型異数胚群で35.9±4.2歳、モザイク群で33.8±3.2歳、混合群で35.2±2.6歳となり、正倍数胚群と比較して、構成型異数胚群と混合群で有意に年齢が高かった。刺激方法では、Long法では、モザイク異常の発生がantagonist法やクロミッド法より有意に低かった。媒精方法の検討においては、c-IVFとICSIで有意差は認められなかった。ICSI施行者の違いによる差異も認められなかった。また、hMG総投与量では、染色体正倍数胚で1656.3±542.4IU、構成型異数胚群で1783.4±619.0IU、モザイク群で1442.3±613.7IU、混合群で1525.0±466.4IUとなり有意差は認められなかった。

考察

今回の結果から、女性の年齢上昇に伴い、構成型の染色体異常が増えることが明らかとなった。また、モザイク異常は年齢に関係なく発生していたため、若年者の発生停止胚や胚変性の主な原因であると考えられた。刺激方法では、モザイク型異常の発生が低かったことから、Long法を行える患者については第一選択としたほうがよいと考える。さらに、当院では媒精方法やICSI施行者によって有意差がないことから、外的要因の影響は少ないと考えられた。
2017.01.23
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