Embryo ScopeTMを用いて胚の性選別ができるか (2015年 第33回 日本受精着床学会)
新井 千登勢、吉貝 香里、松田 有希野、中野 英子、澤田 富夫
目的
最近、タイムラプスインキュベーターを用いて、胚発生速度から胚の性別が選別できるのではないかとの報告(Bronet et al.,2015.)があった。そこで、今回当院ではEmbryo ScopeTM(ES)を用いて、胚発生速度と出生児の性別を後方視的に検討した。
対象と方法
ESにて培養・凍結後2013年4月~2014年9月に初期胚及び胚盤胞移植を施行し、生児を得た43症例を対象とした。PN出現時間(PNA)、PN消失時間(PNF)、3-4細胞時間(s2)、桑実胚到達時間(tM)、胚盤胞到達時間(tB)を算出し、各々の平均値を出生児の性別ごとに比較した。また、ESによる凍結胚の選別が性別に何らかの影響を与えている可能性を考え、ES導入前後過去5年間の男女数の推移を比較した。
結果
男児:女児はPNAで6.3:7.2であり、男女間で有意差が認められた(p<0.05)。またPNFは男児:女児で22.3:22.3、s2は男児:女児で3.3:3.4、tMは83.7:84.6であり、いずれも男女間で有意差は認められなかった。さらにtBは男児:女児で107.8:109.9であり、男女間で有意差が認められた(p<0.05)。一方で、年度別の男女数はES導入後の2013年以降女児の出生数が増加傾向にあったが、導入前後で有意差は認められなかった。当院の男女比(2013年)は男児45.2%、女児54.8%であり、2013年度の統計局の全国出生比率(男児48.6%、女児51.3%)と比較しても女児の出生率が高い結果となった。
結論
PNA及びtBが胚の性別を選別する指標となりうる可能性が示唆された。また、男女間で有意差は認められなかったが、男児となる胚は女児となる胚と比べ、胚発生速度が速い傾向にあった。また、ES導入後女児の出生数が増加傾向にあることが認められた。今後症例数を重ね、これらの傾向について更に検討していく必要があると考えられる。
目的
最近、タイムラプスインキュベーターを用いて、胚発生速度から胚の性別が選別できるのではないかとの報告(Bronet et al.,2015.)があった。そこで、今回当院ではEmbryo ScopeTM(ES)を用いて、胚発生速度と出生児の性別を後方視的に検討した。
対象と方法
ESにて培養・凍結後2013年4月~2014年9月に初期胚及び胚盤胞移植を施行し、生児を得た43症例を対象とした。PN出現時間(PNA)、PN消失時間(PNF)、3-4細胞時間(s2)、桑実胚到達時間(tM)、胚盤胞到達時間(tB)を算出し、各々の平均値を出生児の性別ごとに比較した。また、ESによる凍結胚の選別が性別に何らかの影響を与えている可能性を考え、ES導入前後過去5年間の男女数の推移を比較した。
結果
男児:女児はPNAで6.3:7.2であり、男女間で有意差が認められた(p<0.05)。またPNFは男児:女児で22.3:22.3、s2は男児:女児で3.3:3.4、tMは83.7:84.6であり、いずれも男女間で有意差は認められなかった。さらにtBは男児:女児で107.8:109.9であり、男女間で有意差が認められた(p<0.05)。一方で、年度別の男女数はES導入後の2013年以降女児の出生数が増加傾向にあったが、導入前後で有意差は認められなかった。当院の男女比(2013年)は男児45.2%、女児54.8%であり、2013年度の統計局の全国出生比率(男児48.6%、女児51.3%)と比較しても女児の出生率が高い結果となった。
結論
PNA及びtBが胚の性別を選別する指標となりうる可能性が示唆された。また、男女間で有意差は認められなかったが、男児となる胚は女児となる胚と比べ、胚発生速度が速い傾向にあった。また、ES導入後女児の出生数が増加傾向にあることが認められた。今後症例数を重ね、これらの傾向について更に検討していく必要があると考えられる。
2015.03.19
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