Direct cleavageの分類: 短時間の2細胞期を経たDirect cleavage胚では1個の割球が胚盤胞発生能を保っている(2022年 第67回日本生殖医学会)
渡辺真一 松田有希野 冨田麻莉 鈴木篤智 吉貝香里 中野英子 澤田富夫
【目的】
Direct cleavage(1細胞が3細胞以上に分割する現象、以下DC)を呈した胚は染色体分配異常により発生能が低下するが、そのような胚でも胚盤胞に発育し、健児が得られる可能性があることも知られている。その理由の一つとして、DCには2細胞期を短時間経た後の3分割(以上)と、2細胞期を経ない直接的な3分割(以上)があり、前者では妊孕性が保たれている可能性が報告されている。今回、第一分割DCを詳細に分類し、分割様式の違いによる胚発生能の差異を検討した。
【対象と方法】
2020年1-4月にEmbryoScope(Vitrolife)を用いて胚盤胞培養され、第一分割で3細胞以上に分割した胚のうち、2細胞となってから早期(5時間以内)に片方の割球が2個以上に分割した胚(A群:44個)と、2細胞期を経ず3細胞以上に分割した胚(B群:23個)について、それぞれの割球がその後胚盤胞を形成したか否かを記録した。
【結果】
割球の胚盤胞形成率は、A群の早期分割割球21.4%、非早期分割割球59.3%で後者が有意に高かった(P<0.01)。B群は3.6%で、A群の2種の割球のいずれと比較しても有意に低かった(P<0.01)。
なお、A、B群の良好胚盤胞(4BC以上)発生率は43.2%(19/44)、4.3%(1/23)でA群が有意に高く(P<0.01)、単一胚移植での生産率は33.3%(1/3)、0%(0/1)であった。
【結論】
2細胞期を短時間経た後に3分割以上となった胚では、早期分割しなかった割球が胚盤胞発生能を保持しており、染色体正常である可能性が示唆された。同様の胚で早期分割した割球、および2細胞期を経ず直接3分割以上となった割球は多くが胚盤胞を形成せず、染色体分配異常が示唆された。これらの分割は全てDCと評価されることが多いが、分類すべきと考えられた。
【目的】
Direct cleavage(1細胞が3細胞以上に分割する現象、以下DC)を呈した胚は染色体分配異常により発生能が低下するが、そのような胚でも胚盤胞に発育し、健児が得られる可能性があることも知られている。その理由の一つとして、DCには2細胞期を短時間経た後の3分割(以上)と、2細胞期を経ない直接的な3分割(以上)があり、前者では妊孕性が保たれている可能性が報告されている。今回、第一分割DCを詳細に分類し、分割様式の違いによる胚発生能の差異を検討した。
【対象と方法】
2020年1-4月にEmbryoScope(Vitrolife)を用いて胚盤胞培養され、第一分割で3細胞以上に分割した胚のうち、2細胞となってから早期(5時間以内)に片方の割球が2個以上に分割した胚(A群:44個)と、2細胞期を経ず3細胞以上に分割した胚(B群:23個)について、それぞれの割球がその後胚盤胞を形成したか否かを記録した。
【結果】
割球の胚盤胞形成率は、A群の早期分割割球21.4%、非早期分割割球59.3%で後者が有意に高かった(P<0.01)。B群は3.6%で、A群の2種の割球のいずれと比較しても有意に低かった(P<0.01)。
なお、A、B群の良好胚盤胞(4BC以上)発生率は43.2%(19/44)、4.3%(1/23)でA群が有意に高く(P<0.01)、単一胚移植での生産率は33.3%(1/3)、0%(0/1)であった。
【結論】
2細胞期を短時間経た後に3分割以上となった胚では、早期分割しなかった割球が胚盤胞発生能を保持しており、染色体正常である可能性が示唆された。同様の胚で早期分割した割球、および2細胞期を経ず直接3分割以上となった割球は多くが胚盤胞を形成せず、染色体分配異常が示唆された。これらの分割は全てDCと評価されることが多いが、分類すべきと考えられた。
2022.11.11
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