胚盤胞の外側または胚盤胞腔内に存在する割球のNGSによる解析 (第36回 日本受精着床学会)
新井 千登勢1)、吉貝 香里1)、加藤 武馬2)、加藤 麻希2)、宮井 俊輔2)、松田 有希野1)、鈴木 篤智1)、花井 里沙1)、中野 英子1)、倉橋 浩樹2) 、澤田 富夫1)、
1)さわだウィメンズクリニック, 2)藤田保健衛生大学総合医科学研究所分子遺伝学研究部門

【目的】
胚盤胞の外側に割球(外割球)あるいは胚盤胞腔内に割球(内割球)が残存するものがしばしば観察される。これらの割球の発生原因は明らかになっていないが、多核細胞や一度分割した後に再融合を生じた細胞がcompactionの際に排除されて残存している場合が多い。今回我々は両割球がどのようなものであるかを探るため、外割球または内割球の細胞生検を行い、染色体解析を試みた。さらに、それらの割球を含む同一胚盤胞のICMやTEと染色体比較解析を行った。

【対象と方法】
当院で採卵・凍結後、廃棄となった胚盤胞のうち、外割球を有する20個と内割球を有する3個の計23個を用いた。対象胚は患者の同意を得て研究を行った。外割球採取の患者の採卵時の平均年齢は35.0±3.7歳、内割球は37.3±1.7歳であった。各胚盤胞から外割球または内割球とICM,TEをそれぞれ採取し、全ゲノム増幅後、次世代シークエンサーで染色体比較解析を行った。

【結果】
染色体解析の結果、外割球は正倍数性2個、異数性4個、モザイク型の異常2個、判定不能12個であった。内割球は異数性1個、判定不能2個であった。さらに、ICMやTEとの染色体比較解析の結果、外割球は5/20個が、内割球は1/3個が一致した。

【考察】
今回の解析で外割球と内割球は正倍数性のものは僅かであり、内・外割球に含まれるDNA量が少ない為、判定不能となるケースが多かった。それらは染色体が断片化されるアポトーシスの過程にあると考えられる。すなわち、外割球と内割球は染色体異常などの異常細胞を排除することにより、胚として自己修復を図っている過程を反映している可能性が示唆された。また、ICMやTEとの一致率が低く、胚の核型を反映しているとは言い難く、これらの割球をPGSやPGDの材料として用いることは出来ないが、胚の染色体異常の程度を測る指標の一つとして見なすことができるのではないかと考える。
2018.09.03
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