精子因子が異数性に与える影響(2020年 第65回 日本生殖医学会)
鈴木篤智1、吉貝香里1、加藤 武馬2、松田有希野1、冨田麻莉1、渡辺真一1、中野英子1、倉橋 浩樹2、澤田富夫1

1)さわだウィメンズクリニック、2)藤田医科大学総合医科学研究所分子遺伝学研究部門

 

目的

我々は以前、精子濃度の減少と運動率の低下が正倍数胚の数を減少させる要因である可能性を示唆した(生殖医学会2019)。今回新たにデータ数を追加し、NGSで染色体解析した胚の受精時の精液所見から正倍数胚率に影響を与えているか再検討した。

 

方法

研究同意を得られた廃棄胚盤胞109個をNGS解析に供した。これらの胚のIVF/ICSI時精液所見について精子濃度または運動率により、正倍数率を比較検討した。精子濃度は<5×106ml(A群)、5~10.0×10⁶/ml(B群)、10.0~15.0×10⁶/ml(C群)、15.0~20×10⁶/ml(D群)20.0~30×10⁶/ml(E群)>30×10⁶/ml(F群)の6群、運動率は<20%、≦20~30%、≧40%で分類した。

非モザイク異数性胚は、卵子側の要因による影響を考慮し、今回の検討から除外した。有意差検定はt検定とFisherの正確確立検定を用いた。

 

結果

解析の結果、正倍数胚71個、モザイク異数性胚38個であった。正倍数胚、モザイク異数性胚ともに夫年齢、妻年齢に有意差はなかった。精子濃度別の正倍数胚率の比較では、A、B、C、D、E、F群それぞれ50.0%、100%、46.2%、50.0%、80.8%、64.3%であり、A群とE群、C群とE群でそれぞれ有意差があった(p<0.05)。運動率別の正倍数胚率は、<20%、≦20~30%、≧40%でそれぞれ20.0%、100%、63.8%であり、<20%と比較して≦20~30%で有意に高かった。

 

結論

精子濃度が減少すると、正倍数胚率が低下する傾向にあることが示唆された。また、運動率が低下すると正倍数胚率の低下が認められた。さらなる検討が必要であると考えられる。
2020.12.11
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