同一患者間におけるCaイオノフォアによる卵子活性化の効果の検討 (第58回 日本卵子学会)
〇新井 千登勢、吉貝 香里、松田有希野、中野 英子、澤田 富夫
目的
Caイオノフォア(以下Ca)は精巣精子や不動精子使用時に、卵子活性化が起こらず不受精となるのを回避する目的で使用されてきた。また、胚発育遅延、胚盤胞到達率が低い症例にも有効であるとの報告もある。当院で採卵を行い、低受精率や分割不良、精子運動性不良が見られた同一患者間において、Ca施行前後の成績を後方視的に検討した。
対象
2013年1月~2017年12月に採卵し、ICSI後Caを施行した患者10名、平均年齢36.5±3.5歳を対象とした。同一患者間で、Ca非施行周期とCa施行周期において、受精率、分割率、着床率、臨床妊娠率、出産率を比較した。また、2016年1月~12月に採卵・ICSI後Ca非施行患者の中から無作為抽出したノーマル群とCa施行群で受精率、分割率を比較した。
結果
同一患者間でのCa非施行周期とCa施行周期の受精率は47.8% vs. 87.4%で有意な差があった。分割率は100% vs.100%、着床率は6.3% vs. 37.0%、臨床妊娠率は6.3% vs. 29.6%、出産率は6.3% vs. 11.1% であり、分割率と臨床妊娠率、出産率に有意な差はなかったが、着床率に有意な差があった。さらに、この5項目をICSIの際に使用した精子別(新鮮精子・凍結精子・TESE精子・MESA精子)に分け、Ca非施行周期・施行周期を比較した結果、新鮮精子と凍結精子を用いたCa施行周期において受精率に有意な差があった。また、ノーマル群とCa施行群の受精率、分割率は80.5% vs.87.4%、98.1% vs. 100%であり、有意な差はなかった。
考察
Ca処理の必要な患者において、受精率と着床率が飛躍的に向上した。過去に受精障害や胚発生不良があった場合の改善策として、また不良な新鮮精子や凍結精子を使用する場合も、Caを施行することが有用であると考える。今後症例数を増やし更なる検討を行うとともに、1回のICSIでCa施行群と非施行群に分けた比較検討も必要である。
目的
Caイオノフォア(以下Ca)は精巣精子や不動精子使用時に、卵子活性化が起こらず不受精となるのを回避する目的で使用されてきた。また、胚発育遅延、胚盤胞到達率が低い症例にも有効であるとの報告もある。当院で採卵を行い、低受精率や分割不良、精子運動性不良が見られた同一患者間において、Ca施行前後の成績を後方視的に検討した。
対象
2013年1月~2017年12月に採卵し、ICSI後Caを施行した患者10名、平均年齢36.5±3.5歳を対象とした。同一患者間で、Ca非施行周期とCa施行周期において、受精率、分割率、着床率、臨床妊娠率、出産率を比較した。また、2016年1月~12月に採卵・ICSI後Ca非施行患者の中から無作為抽出したノーマル群とCa施行群で受精率、分割率を比較した。
結果
同一患者間でのCa非施行周期とCa施行周期の受精率は47.8% vs. 87.4%で有意な差があった。分割率は100% vs.100%、着床率は6.3% vs. 37.0%、臨床妊娠率は6.3% vs. 29.6%、出産率は6.3% vs. 11.1% であり、分割率と臨床妊娠率、出産率に有意な差はなかったが、着床率に有意な差があった。さらに、この5項目をICSIの際に使用した精子別(新鮮精子・凍結精子・TESE精子・MESA精子)に分け、Ca非施行周期・施行周期を比較した結果、新鮮精子と凍結精子を用いたCa施行周期において受精率に有意な差があった。また、ノーマル群とCa施行群の受精率、分割率は80.5% vs.87.4%、98.1% vs. 100%であり、有意な差はなかった。
考察
Ca処理の必要な患者において、受精率と着床率が飛躍的に向上した。過去に受精障害や胚発生不良があった場合の改善策として、また不良な新鮮精子や凍結精子を使用する場合も、Caを施行することが有用であると考える。今後症例数を増やし更なる検討を行うとともに、1回のICSIでCa施行群と非施行群に分けた比較検討も必要である。
2018.06.26
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