初期分割様式が初期胚移植及び胚盤胞移植の成績に及ぼす影響について (第38回 日本受精着床学会)
冨田 麻莉 , 渡辺 真一 , 鈴木 篤智 , 松田 有希野 , 吉貝 香里 , 中野 英子 ,

澤田 富夫

 

【目的】

タイムラプスモニタリングによる胚の形動態学的評価は重要である。

特に初期分割では、1個の細胞が3個以上に分割するダイレクト分割、一旦分割した細胞が融合するリバース分割と呼ばれる分割を呈することがある。

今回、初期胚又は胚盤胞移植を行った胚の初期分割動態を分析し、妊娠率と流産率について比較検討を行った。

 

【対象と方法】

2013-2019年に採卵を行い、EmbryoScope(Vitrolife)で培養を行った胚のうち、初期胚移植(1050個)と胚盤胞移植(531個)を行った胚を対象として、初期分割動態の観察を行った。

第一分割で2細胞、第二分割で4細胞となった胚をA群、第一分割で3細胞以上になった胚をB群、第一分割で2細胞、第二分割で5細胞以上になった胚をC群、第一分割で3細胞以上となった後割球の融合が見られた胚をD群、第一分割で2細胞、第二分割で5細胞以上となった後割球の融合が見られた胚をE群に分類し、胚移植後の妊娠成績を比較した。移植は全て単一胚移植とした。

 

【結果】

初期胚移植の妊娠率及び流産率はA群22.4%(134/599), 27.6%(37/134)、B群5.9%(8/135),  25.0%(2/8)、C群12.7%(8/63), 50.0%(4/8)、D群19.0%(42/221), 33.3%(14/42)、E群21.9%(7/32), 71.4%(5/7)であり、A群はB群より妊娠率が有意に高かった(P<0.05)が流産率に有意差は認められなかった。

胚盤胞移植の妊娠率及び流産率はA群32.8%(94/287), 27.7%(26/94)、B群35.8%(34/95), 26.5%(9/34)、C群38.5%(15/39), 13.3%(2/15)、D群25.0%(25/100), 24.0%(6/25)、E群30.0%(3/10), 33.3%(1/3)であり各群間に妊娠率、流産率共に有意差は認められなかった。

 

【結論】

初期胚移植では第一分割でダイレクト分割が見られた胚の妊娠率は低いため、初期胚移植の際優先順位を下げることが望ましい。

胚盤胞移植では初期分割様式による移植成績の差は見られず、いずれの分割様式であっても胚盤胞に発育した胚は移植に用いることに問題はないことが示された。
2020.09.15
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