初期分割不良は胚盤胞到達後の正倍数率に影響しない(2020年 第61回 日本卵子学会)
渡辺 真一1 吉貝 香里1 冨田 麻莉1 鈴木 篤智1 野呂 麻理子1 松田 有希野1

宮井 俊輔2 加藤 武馬2 中野 英子1 倉橋 浩樹2 澤田 富夫1

 

1 さわだウィメンズクリニック

2 藤田医科大学総合医科学研究所分子遺伝学研究部門

 

【目的】

胚発生において初期分割は重要な動態であり、タイムラプスモニタリングにより初期分割不良が観察された胚は胚盤胞発生率が低下するとの報告は多い。しかし初期分割不良を呈した胚でも胚盤胞に到達し、その移植による妊娠・出産例も我々はしばしば経験している。今回、初期分割不良でありながら胚盤胞に到達した胚の染色体解析を行い、初期分割良好であった胚盤胞と正倍数率を比較した。

 

【対象と方法】

2013~2018年に採卵・培養され、患者同意の得られた廃棄胚盤胞96個を対象としてNGS染色体解析を行った。これらの初期分割動態をEmbryoScope(Vitrolife)によるタイムラプス撮影画像を用いて観察し、第一分割で2細胞、第二分割で4細胞となった胚を良好分割群に、第一分割で3細胞以上、または第二分割で5細胞以上となった胚を不良分割群に分類した。

 

【結果】

良好分割群は53個、不良分割群は43個であった。正倍数胚、構成型異数胚、モザイク胚の割合は良好分割群で43.4%(23), 45.3%(24), 11.3%(6), 不良分割群で41.9%(18), 46.5%(20), 11.6%(5)であり、両群の正倍数率に有意差を認めなかった(良好分割群に対する不良分割群の正倍数率のオッズ比0.94)。

 

【結論】

初期分割不良は胚盤胞到達後の正倍数率を低下させないことが示された。初期分割不良胚であっても胚盤胞に到達した胚は初期分割正常胚と同様に移植に用いることが可能である。
2020.09.08
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