凍結融解胚移植において異数胚を避けるための条件 (第64回 日本生殖医学会)
松田 有希野1)、吉貝 香里1)、加藤 武馬2)、宮井 俊輔2)、新井 千登勢1)、鈴木 篤智1)、冨田 麻莉1)、中野 英子1)、倉橋 浩樹2)澤田 富夫1)、
1)さわだウィメンズクリニック、2)藤田医科大学総合医科学研究所分子遺伝学研究部門
目的
非侵襲的な方法での胚の選別について、多くはガードナー分類を用いている。さらに、近年では、胚盤胞の拡張具合も同様に検討され、当院でも胚盤胞の拡張が大きいほど妊娠率が高くなると報告してきた。しかし、胚の染色体異数性について形態学的視点からの確定的な選択基準は見つかっていない。よって今回私たちは、ROC曲線を用いて胚盤胞径のカットオフ値を算出し、異数性率がどのくらい低くなるか検討した。
方法
2013年5月から2018年6月の間に採卵し、患者同意を得られた廃棄胚盤胞48症例70個の胚盤胞を用いた。胚の培養はEmbryo Scopeを使用し、37℃、5%O2、6%CO2の条件下で連続培養を行った。胚の直径を2ヵ所測定し、その平均値を胚盤胞径とした。ROC曲線からカットオフ値を求め、正倍数性率、異数性率を計算した。
結果
ROC曲線によるカットオフ値は152μm(陽性的中率78.8%)であった。よって、胚盤胞径153μm以上と152μm以下に胚盤胞を分類した。153μm以上での正倍数性率と異数性率は、59.1%(26/44)、40.9%(18/44)であり、152μm以下では、26.9%(7/26)、73.1%(19/26)であった。
また、152μm以下では、153μm以上と比較して、正倍数胚が有意に少なく、異数胚が有意に多いことが分かった。(P<0.01)
考察
今回の結果より、カットオフ値で区切った大きな胚盤胞を選択することによって、異数胚を選択するリスクが低くなることがわかった。凍結時は胚盤胞サイズを確認し、条件にあった胚盤胞径のものから凍結融解胚移植を行うことによって、妊娠率の向上に役立つ可能性がある。また、測定時間の見直しやガードナー分類などの条件を追加することによってさらに精度があがるのではないかと考える。
1)さわだウィメンズクリニック、2)藤田医科大学総合医科学研究所分子遺伝学研究部門
目的
非侵襲的な方法での胚の選別について、多くはガードナー分類を用いている。さらに、近年では、胚盤胞の拡張具合も同様に検討され、当院でも胚盤胞の拡張が大きいほど妊娠率が高くなると報告してきた。しかし、胚の染色体異数性について形態学的視点からの確定的な選択基準は見つかっていない。よって今回私たちは、ROC曲線を用いて胚盤胞径のカットオフ値を算出し、異数性率がどのくらい低くなるか検討した。
方法
2013年5月から2018年6月の間に採卵し、患者同意を得られた廃棄胚盤胞48症例70個の胚盤胞を用いた。胚の培養はEmbryo Scopeを使用し、37℃、5%O2、6%CO2の条件下で連続培養を行った。胚の直径を2ヵ所測定し、その平均値を胚盤胞径とした。ROC曲線からカットオフ値を求め、正倍数性率、異数性率を計算した。
結果
ROC曲線によるカットオフ値は152μm(陽性的中率78.8%)であった。よって、胚盤胞径153μm以上と152μm以下に胚盤胞を分類した。153μm以上での正倍数性率と異数性率は、59.1%(26/44)、40.9%(18/44)であり、152μm以下では、26.9%(7/26)、73.1%(19/26)であった。
また、152μm以下では、153μm以上と比較して、正倍数胚が有意に少なく、異数胚が有意に多いことが分かった。(P<0.01)
考察
今回の結果より、カットオフ値で区切った大きな胚盤胞を選択することによって、異数胚を選択するリスクが低くなることがわかった。凍結時は胚盤胞サイズを確認し、条件にあった胚盤胞径のものから凍結融解胚移植を行うことによって、妊娠率の向上に役立つ可能性がある。また、測定時間の見直しやガードナー分類などの条件を追加することによってさらに精度があがるのではないかと考える。
2019.11.12
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