凍結胚移植における胚発育と移植のタイミングとの関連 (2019年 第41回 中部生殖医学会)
〇鈴木篤智、吉貝香里、松田有希野、新井千登勢、冨田麻莉、中野英子、澤田富夫

目的
以前より前核出現が早く、分割が早い胚は妊娠率が高いという報告がある。当院でも初期胚の凍結時には、発生時間を考慮し、発生が早く分割が良好な胚を選別し凍結を施行している。しかし初期胚の発生が遅い胚であっても、継続培養後胚盤胞に到達し、融解胚移植後着床する胚もあり、胚の発生と最適な移植のタイミングについて検討した。

方法
ART治療にて採卵し、Embryo Scope(ES)による連続培養の後、凍結胚移植を施行した患者(64症例172周期)を無作為に抽出した。患者の平均年齢は34.9±3.6歳であった。ESの画像から前核出現時間、前核消失時間、第一分割、第二分割、Compaction、Compactionから胚盤胞発生までの時間を測定した。初期胚移植(D2)と胚盤胞移植の結果をそれぞれ妊娠継続群(FB(+)群)、非妊娠群(PT(-)群)、流産群の3群に分類した。
3群における各発生時間と妊娠結果の関連を検討した。

結果
初期胚移植では、FB(+)群、PT(-)群、流産群で発生時間に有意差はないが、FB(+)群で他2群より発生時間が早い傾向にあった。胚盤胞移植では、Compactionから胚盤胞発生までの時間がFB(+)群で98.4±9.7時間、PT(-)群で95.5±10.3時間、流産群で91.4±6.1時間であり、流産群がFB(+)群と比較して有意に早いことがわかった。また、前核出現からCompactionまでの分割時間に有意差はないものの流産群が他2群より早い傾向にあった。

結論
初期胚では、発生時間が早いほど妊娠継続する傾向があることがわかった。よって初期胚を凍結保存する際は、発生の早い胚を選択するのがよいと考えられた。また、胚盤胞については、発生が早い胚が流産に至る原因として、これらの周期では、implantation windowの変化と移植のタイミングと合致していない可能性がある。移植にあたってはホルモン値や内膜の厚さを測定し、個別に移植のタイミングを計画する必要性があると考えられた。
2019.06.21
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