凍結胚盤胞の融解直後及び移植時の形態と移植成績との関連(第40回日本受精着床学会)
冨田 麻莉 , 渡辺 真一 , 鈴木 篤智 , 松田 有希野 , 吉貝 香里 , 中野 英子 ,

澤田 富夫

【目的】

凍結融解胚盤胞移植を行う際、胚融解後の拡張状態が良好な場合は移植成績も良好であるとの報告は多いが、融解直後と融解数時間後の形態とを関連付けた報告や融解数時間後の胚観察の必要性について論じた報告は少ない。

今回、単一胚盤胞移植を行った胚の融解直後及び移植時の形態が妊娠率と流産率に関連するかを調査し、また、融解胚盤胞の観察の必要性について検討を行った。

 

【対象と方法】

2019年9月-2021年12月に単一胚盤胞移植を行った248個の胚盤胞を対象として、融解直後と移植時(融解2-4時間後)に胚盤胞の拡張状態を観察記録した。

融解直後の胚形態によって拡張群(囲卵腔が観察されなかった胚)、収縮群(囲卵腔が観察された胚)の2群に分類した。融解直後に外周1/3-1/2のレーザーAHAを行った。

移植時の胚形態は脱出中(完全脱出を含む)、拡張、収縮の3類に分類し、それぞれについて移植成績の比較検討を行った。

 

【結果】

対象胚は融解直後の形態によって、拡張群161個、収縮群87個に分類された。各群の妊娠率及び流産率は、拡張群37.9%(61/161), 21.3%(13/61)、収縮群29.9%(26/87), 23.1%(6/26)であり、いずれも有意差は認められなかった。

移植時の形態ごとの妊娠率及び流産率は、拡張群では脱出中38.8%(40/103), 22.5%(9/40)、拡張34.9%(15/43), 13.3%(2/15)、収縮40.0%(6/15), 33.3%(2/6)、収縮群では、脱出中34.1%(15/44), 0%(0/15)、拡張33.3%(10/30), 30.0%(3/10)、収縮7.7%(1/13), 0%(0/1)であり、2群いずれも移植時の形態による妊娠率、流産率に有意差は認められなかった。

 

【結論】

融解直後拡張していた胚盤胞では、移植時の形態は移植成績に関連しなかったため、融解数時間後の観察は不要と考えられた。

融解直後収縮していた胚盤胞では、移植時に収縮していた場合の移植成績に有意差はないが低い傾向にあったため、融解数時間後の形態観察により妊孕能の推測ができる可能性が示唆された。
2022.10.12
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