タイムラプスモニタリングによる前核確認の有用性について(第62回 日本卵子学会)
冨田 麻莉 , 渡辺 真一 , 鈴木 篤智 , 松田 有希野 , 吉貝 香里 , 中野 英子 ,
澤田 富夫
【目的】
体外受精の受精確認は一般に媒精後20時間前後に行われるが前核が消失して見逃しが起き、移植対象から除外せざるを得ない場合もある。今回、前核消失時間と胚発生能及び妊孕能の関連を分析し前核確認の有用性を検討した。
【対象と方法】
2020年1-10月に採卵を行いC-IVF又はICSI後、EmbryoScope(Vitrolife)で培養を行った1103個の胚を対象とした。
2PNと異常受精(1PN又は≧3PN)について、前核消失時間により<20h、≧20hに分類し、良好分割(媒精44時間で4分割,フラグメント≦10%)率、良好胚盤胞(ガードナー分類4以上でICMを認める)率、初期胚又は胚盤胞移植の妊娠率、流産率の比較を行った。
【結果】
前核消失時間は2PN胚のうち<20hは13.3%(136/1019),≧20hが86.7%(883/1019)、異常受精胚のうち<20hが1.2%(1/84),≧20hが98.8%(83/84)であった。
良好分割率及び良好胚盤胞率は<20hが54.4%(74/136),64.8%(57/88)、≧20hが37.1%(328/883),37.2%(230/619)であり、共に<20hが有意に高かった(P<0.05)。
単一初期胚移植妊娠率及び流産率は<20hが23.1%(3/13),66.7%(2/3)、≧20hが21.1%(20/95),20.0%(4/20)であり妊娠率、流産率共に有意差は認められなかった。単一胚盤胞移植妊娠率及び流産率は<20hが42.9%(3/7),0%(0/3)、≧20hが32.0%(8/25),25.0%(2/8)であり妊娠率、流産率共に有意差は認められなかった。
【結論】
2PN胚は13.3%で前核早期消失が見られた。良好分割率、良好胚盤胞率は、早期に前核消失する胚の発生能が高いことが示された。
タイムラプスモニタリングによる前核観察は正確な受精評価及び早期に前核消失する良好胚の見逃しを防止し、それらの胚の移植機会逸失防止に寄与すると考えられた。
澤田 富夫
【目的】
体外受精の受精確認は一般に媒精後20時間前後に行われるが前核が消失して見逃しが起き、移植対象から除外せざるを得ない場合もある。今回、前核消失時間と胚発生能及び妊孕能の関連を分析し前核確認の有用性を検討した。
【対象と方法】
2020年1-10月に採卵を行いC-IVF又はICSI後、EmbryoScope(Vitrolife)で培養を行った1103個の胚を対象とした。
2PNと異常受精(1PN又は≧3PN)について、前核消失時間により<20h、≧20hに分類し、良好分割(媒精44時間で4分割,フラグメント≦10%)率、良好胚盤胞(ガードナー分類4以上でICMを認める)率、初期胚又は胚盤胞移植の妊娠率、流産率の比較を行った。
【結果】
前核消失時間は2PN胚のうち<20hは13.3%(136/1019),≧20hが86.7%(883/1019)、異常受精胚のうち<20hが1.2%(1/84),≧20hが98.8%(83/84)であった。
良好分割率及び良好胚盤胞率は<20hが54.4%(74/136),64.8%(57/88)、≧20hが37.1%(328/883),37.2%(230/619)であり、共に<20hが有意に高かった(P<0.05)。
単一初期胚移植妊娠率及び流産率は<20hが23.1%(3/13),66.7%(2/3)、≧20hが21.1%(20/95),20.0%(4/20)であり妊娠率、流産率共に有意差は認められなかった。単一胚盤胞移植妊娠率及び流産率は<20hが42.9%(3/7),0%(0/3)、≧20hが32.0%(8/25),25.0%(2/8)であり妊娠率、流産率共に有意差は認められなかった。
【結論】
2PN胚は13.3%で前核早期消失が見られた。良好分割率、良好胚盤胞率は、早期に前核消失する胚の発生能が高いことが示された。
タイムラプスモニタリングによる前核観察は正確な受精評価及び早期に前核消失する良好胚の見逃しを防止し、それらの胚の移植機会逸失防止に寄与すると考えられた。
2021.07.09
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