Single mediumはSequential mediumに比べ有用か (第57回 日本生殖医学会)
吉貝香里 堀紗耶未 澤田富夫

妊娠成績向上のための培養環境のQuality controlは極めて重要である。今回我々は、異なるタイプの培養液2種類Sequential Medium(Sq.M.群)Single Medium(S.M.群)を用い、その妊娠成績を比較検討した。
2010年1月~2010年3月までのSq.M.群218周期(36.04.2歳)S.M.群266周期(36.54.0歳)計484周期を対象とした。
Sq.M.群、S.M.群ともに、採卵後c-IVF/ICSIにて受精させ、Fertilization medium にて培養、その後Sq.M.群をday1で受精確認後Cleavage mediumに、day3にて≧8cellの胚をBlastocyst mediumに移し3段階の培地交換を行った。S.M.群は、day1で受精確認後、Single mediumに移し、同一mediumでday5-6まで継続培養を行った。卵・胚の培養は0.5ml volume/well、37℃ 5%CO2、5%O2、90%N2ドライインキュベーター環境下で行った。両群間における受精率、胚盤胞発生率、移植あたりの妊娠率、胚のGrade別の着床率を比較検討した。Grade評価には、初期胚はVeeck分類、胚盤胞はGardner分類を用いた。統計処理はχ2検定またはFisher’s exact probabilityを用いた。
【結果】受精率はSq.M.群、S.M.群それぞれ81.6%、82.6%、また胚盤胞発生率はSq.M.群58.4%、S.M.群で61.1%であり、S.M.群でやや高い傾向を示した。さらに移植あたりの妊娠率はSq.M.群、S.M.群それぞれ年齢別(①~30歳、②~35歳未満、③~40歳未満、④40歳以上)で比較すると、S.M.群で①40.9%②40.0%③27.83%④13.79%、S.M.群では①40.0%②42.7%③31.3%④15.3%であり、これもS.M.群でやや高い傾向であった。胚のGrade別の着床率は、初期胚でSq.M.群、S.M.群それぞれG1 35.7% vs29.6%、G2 33.3% vs32.4%、G3 17.2% vs19.7%であった。また胚盤胞では3BB以上の良好胚を比較し、Sq.M.群、S.M.群それぞれscore AA 32.8%vs56.0%(p<0.05)、 AB 25.9%vs42.9%、 BA 37.5%vs100%、 BB 34.5%vs31.6%であった。着床率は初期胚ではSq.M.群で高値を示したが、胚盤胞ではS.M.群で全体的に高い傾向となった。S.M.群のscore CCでは妊娠例がなかった。
【考察】Single mediumはSequential mediumに比較し受精・着床率に良好な成績を示し、特に胚盤胞移植で良好な結果を得た。培養手技の簡素化、また単一胚移植の面からも有用な培養環境を作ることができる。胚盤胞凍結においてはBB以上の胚のみ保存するのが有効と考えられた。
2012.05.14
<< 学会・論文発表一覧

ページTOPへ

  • HOME
  • 診療時間
  • クリニックの特徴
  • 院長プロフィール
  • 不妊治療内容
  • 研究ラボ
  • Q&A
  • 患者様の声
  • スタッフ紹介
  • アクセス
  • リンク集
  • お問い合わせ