Reverse cleavage胚の詳細な観察と培養・移植成績(2022年 第63回日本卵子学会学術集会)
鈴木篤智、渡辺真一、冨田麻莉、松田有希野、吉貝香里、中野英子、澤田富夫
【目的】
初期発生における不規則な分割として、一度分割した胚が融合するreverse cleavage(以下RC)と呼ばれる現象が知られているが、発生能や妊孕性への影響は分かっていない。
今回RC胚を詳細に観察し、胚発生能、妊孕能を検討した。
【対象と方法】
2016-20年にタイムラプスモニタリングされた胚1137個を対象として、第二分割までにRCが観察された胚をRC群、第一第二分割正常胚を正常群とし、良好胚盤胞発生率(Gardner分類4BC以上)、移植妊娠率を比較した。
さらに、1細胞が3細胞以上に分割(direct cleavage : DC)した後にRCが観察された胚をDC-RC群、正常分割後にRCが観察された胚をNC-RC群とし、良好胚盤胞発生率を比較した。
【結果】
初期胚移植妊娠率はRC群14.1%(10/71)、正常群27.0%(79/293)でRC群が有意に低率であった(P<0.05)。胚盤胞移植妊娠率はRC群42.1%(16/38)、正常群39.0%(41/105)で有意差は認めなかった。
良好胚盤胞発生率は、RC群、正常群ではそれぞれ34.5%(81/235)、66.7%(276/414)でRC群が有意に低く(P<0.01)、DC-RC群、NC-RC群ではそれぞれ37.6%(77/205)、13.3%(4/30)でNC-RC群が有意に低く(p<0.01)、DC-RC群のうち第一分割RC胚では37.2%(54/145)、第二分割RC胚では38.3%(23/60)、NC-RC群のうち第一分割RC胚では0.0%(0/21)、第二分割RC胚では44.4%(4/9)であった。
【考察】
RCは良好胚盤胞発生率、初期胚移植妊娠率を低下させたが、胚盤胞移植妊娠率を低下させなかったことから、胚盤胞に発育すれば移植可能と考えられた。
また、正常第一分割後にRCが見られた胚は良好胚盤胞を形成しなかったが、それ以外のRCでは形成が見られており、融合しなかった細胞が胚盤胞発生能を保持していると考えられた。
【目的】
初期発生における不規則な分割として、一度分割した胚が融合するreverse cleavage(以下RC)と呼ばれる現象が知られているが、発生能や妊孕性への影響は分かっていない。
今回RC胚を詳細に観察し、胚発生能、妊孕能を検討した。
【対象と方法】
2016-20年にタイムラプスモニタリングされた胚1137個を対象として、第二分割までにRCが観察された胚をRC群、第一第二分割正常胚を正常群とし、良好胚盤胞発生率(Gardner分類4BC以上)、移植妊娠率を比較した。
さらに、1細胞が3細胞以上に分割(direct cleavage : DC)した後にRCが観察された胚をDC-RC群、正常分割後にRCが観察された胚をNC-RC群とし、良好胚盤胞発生率を比較した。
【結果】
初期胚移植妊娠率はRC群14.1%(10/71)、正常群27.0%(79/293)でRC群が有意に低率であった(P<0.05)。胚盤胞移植妊娠率はRC群42.1%(16/38)、正常群39.0%(41/105)で有意差は認めなかった。
良好胚盤胞発生率は、RC群、正常群ではそれぞれ34.5%(81/235)、66.7%(276/414)でRC群が有意に低く(P<0.01)、DC-RC群、NC-RC群ではそれぞれ37.6%(77/205)、13.3%(4/30)でNC-RC群が有意に低く(p<0.01)、DC-RC群のうち第一分割RC胚では37.2%(54/145)、第二分割RC胚では38.3%(23/60)、NC-RC群のうち第一分割RC胚では0.0%(0/21)、第二分割RC胚では44.4%(4/9)であった。
【考察】
RCは良好胚盤胞発生率、初期胚移植妊娠率を低下させたが、胚盤胞移植妊娠率を低下させなかったことから、胚盤胞に発育すれば移植可能と考えられた。
また、正常第一分割後にRCが見られた胚は良好胚盤胞を形成しなかったが、それ以外のRCでは形成が見られており、融合しなかった細胞が胚盤胞発生能を保持していると考えられた。
2022.05.30
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