NGSによる染色体解析からみた良好胚盤胞の選択基準 (第36回 日本受精着床学会)
○松田 有希野1)、吉貝 香里1)、加藤 武馬2)、宮井 俊輔2)、加藤 麻希2)、新井 千登勢1)、鈴木 篤智1)、花井 里沙1)、中野 英子1)、倉橋 浩樹2)、澤田 富夫1)
1)さわだウィメンズクリニック、2)藤田保健衛生大学総合医科学研究所分子遺伝学研究部門

目的
我々は、染色体正倍数の胚は、異数性胚に比べ、拡張胚盤胞の直径が大きいこと、Compactionに関与する細胞数が多いことを報告した。この際、配偶子形成過程で発生する構成型異常胚と受精後の初期胚で発生するモザイク型異常胚の2つをまとめて異数性として検討したが、今回、異数性を構成型とモザイク型の2つに分類し、再検討した。

方法
患者の同意を得られた廃棄胚盤胞(46個、患者平均年齢33.6±4.1歳)をNGSにより染色体解析を行った。胚盤胞は、正倍数群(N群14個)、構成型異数性群(C群12個)、モザイク群(M群11個)、構成型異数性とモザイクの両方を持つ混合群(CCA群9個)に分類した。検討項目は、Compaction完了時間、Compaction時細胞数、Compaction に関与した細胞数、胚盤胞到達時間、培養115時間時の胚盤胞の直径サイズとした。

結果
平均年齢はN群32.6±2.9歳、C群36.2±4.4歳、M群32.7±3.8歳、CCA群37.3±3.2歳であり、N群、M群に対してC群とCCA群は有意に年齢が高かった。Compaction完了時間とCompaction時細胞数については4群間に有意差がなかった。しかし、Compactionに関与した細胞数は、N群(9.5±1.9個)と比較してC群(7.7±2.4個)、M群(7.8±2.0個)で有意に少なかった。また、胚盤胞到達時間はN群(96.9±4.1時間)と比較して他の3群が有意に遅かった。(C群105.3±7.5時間、M群102.6±8.7時間、CCA群101.3±7.0時間)さらに、培養115時間時の胚盤胞サイズは、N群(168.6±24.9μm)と比較し、M群(150.3±22.7μm)とCCA群(154.4±15.5μm)において有意差はないものの、C群(141.6±26.1μm)は有意に小径であった。

考察
今回の結果より、培養115時間時、小径胚盤胞は構成型異常をもつ胚である可能性が示唆された。また、Compactionに関与した細胞数が少ない胚や、胚盤胞到達時間が、100時間を超えてくる胚についても、染色体異数性を持つ胚である可能性が示唆された。以上の結果より、凍結や移植を行う胚の優先順位付けの際にこの条件に従い、妊娠率や流産率への影響を検討していきたい。
2018.09.03
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