培養液の違いによるモザイク発生頻度の比較検討 (第36回 日本受精着床学会)
○松田 有希野1)、吉貝 香里1)、加藤 武馬2)、宮井 俊輔2)、加藤 麻希2)、新井 千登勢1)、鈴木 篤智1)、花井 里沙1)、中野 英子1)、倉橋 浩樹2)、澤田 富夫1)
1)さわだウィメンズクリニック、2)藤田保健衛生大学総合医科学研究所分子遺伝学研究部門
目的
近年、受精後の初期胚で高頻度に染色体異常が発生することが知られている。IVFにおける体外培養の環境が異数体の発生頻度に影響するという報告もあり、卵胞刺激ホルモンや培養液が、受精後の異数体発生の原因ではないかと考えられている。本研究では、モザイク染色体異常を高感度に検出できる次世代シーケンサーを用いて、2種類の培養液を使用し、モザイク型の染色体異常の発生頻度に差があるか検討した。
方法
2013年2月~2017年7月までに採卵した39症例を対象とした。採卵後、体外受精または、顕微授精を行い、5日目(D5)または6日目(D6)で胚盤胞を凍結した。培養機器はEmbryo Scope®またはKシステムを使用し、培養条件は、37℃、O2 5.0%、N2 90%とし、対象期間中の条件の変化はなかった。培養は、シングルメディウムを使用した連続培養を行ったため、培養液交換は行わなかった。
使用した胚は、患者の同意が得られた廃棄胚盤胞であり、栄養外胚葉をNGSで染色体解析した。使用した培養液はA社、B社とした。次世代シークエンサーの結果は、構成型異数体を除き、正倍数とモザイクの結果のみ使用した。
結果
A社、B社それぞれ患者平均年齢は、34.0±4.0歳、33.8±4.2歳であり、有意差はなかった。D5胚の結果は、A社で正倍数胚群54.5%(6/11)、モザイク群45.5%(5/11)、B社で正倍数胚群50.0%(9/18)、モザイク群50.0%(9/18)であり、それぞれ有意差はなかった。また、D6胚では、A社で正倍数胚群100.0%(2/2)、モザイク群0%(2/2)、B社で正倍数胚群63.2%(12/19)、モザイク群36.8%(7/19)であり、それぞれ有意差はなかった。
考察
今回の検討では、2社の培養液の違いによるモザイク率の変化に有意差が認められなかったことから、培養液がモザイク現象の発生原因である可能性は低いと示唆された。
今後症例数を増やし検討していきたい。
1)さわだウィメンズクリニック、2)藤田保健衛生大学総合医科学研究所分子遺伝学研究部門
目的
近年、受精後の初期胚で高頻度に染色体異常が発生することが知られている。IVFにおける体外培養の環境が異数体の発生頻度に影響するという報告もあり、卵胞刺激ホルモンや培養液が、受精後の異数体発生の原因ではないかと考えられている。本研究では、モザイク染色体異常を高感度に検出できる次世代シーケンサーを用いて、2種類の培養液を使用し、モザイク型の染色体異常の発生頻度に差があるか検討した。
方法
2013年2月~2017年7月までに採卵した39症例を対象とした。採卵後、体外受精または、顕微授精を行い、5日目(D5)または6日目(D6)で胚盤胞を凍結した。培養機器はEmbryo Scope®またはKシステムを使用し、培養条件は、37℃、O2 5.0%、N2 90%とし、対象期間中の条件の変化はなかった。培養は、シングルメディウムを使用した連続培養を行ったため、培養液交換は行わなかった。
使用した胚は、患者の同意が得られた廃棄胚盤胞であり、栄養外胚葉をNGSで染色体解析した。使用した培養液はA社、B社とした。次世代シークエンサーの結果は、構成型異数体を除き、正倍数とモザイクの結果のみ使用した。
結果
A社、B社それぞれ患者平均年齢は、34.0±4.0歳、33.8±4.2歳であり、有意差はなかった。D5胚の結果は、A社で正倍数胚群54.5%(6/11)、モザイク群45.5%(5/11)、B社で正倍数胚群50.0%(9/18)、モザイク群50.0%(9/18)であり、それぞれ有意差はなかった。また、D6胚では、A社で正倍数胚群100.0%(2/2)、モザイク群0%(2/2)、B社で正倍数胚群63.2%(12/19)、モザイク群36.8%(7/19)であり、それぞれ有意差はなかった。
考察
今回の検討では、2社の培養液の違いによるモザイク率の変化に有意差が認められなかったことから、培養液がモザイク現象の発生原因である可能性は低いと示唆された。
今後症例数を増やし検討していきたい。
2018.09.03
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