- ヒト胚のタイムラプス観察動態と移植妊娠成績の関連の検討
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2013年1月以降に体外受精を実施したあなたの臨床データを研究のために用いさせていただくことについての説明文書
臨床研究課題名: ヒト胚のタイムラプス観察動態と移植妊娠成績の関連の検討
【当院で不妊治療を受けている皆様へのお願い】
研究に必要な臨床情報は、あなたの医療記録を利用させていただきます。改めてあなたに受診していただくことや、検査を受けていただく必要はありません。
情報提供を希望されないことをお申し出いただいた場合、あなたの情報を利用しないようにいたします。この研究への情報提供を希望されない場合であっても、診療上何ら支障はなく、不利益を被ることはありません。
- この研究を計画した背景
研究背景・意義
生殖補助医療における体外受精では、胚を観察してその形態から妊孕能を推測して移植胚を選択していましたが、観察のためには胚を培養器の外に出す必要があり、培養環境が大きく変化し胚に悪影響を及ぼすことから通常は1日1回程度の観察による情報しか得ることができませんでした。
しかし近年普及が進んでいる胚のタイムラプスモニタリング(連続的観察)システムを備えた培養器によって、従来は困難であった胚の動的な観察が可能となり、細胞分割時の状態など胚の動態から非侵襲的に妊孕性を推測する試みが数多く行われています。
特に胚の初期動態はその後の胚発育や妊孕性に大きな影響があるとされます。胚の分割では通常1細胞が2細胞に分割しますが、3細胞以上になる不規則な分割や、一旦分割した細胞が融合する現象が時折見られます。発生初期にそのような分割が見られた胚は胚盤胞発生率および初期胚移植妊娠率が低下するとの報告があります。しかしそのような胚でも胚盤胞まで発育すれば移植妊娠率は低下しない、また染色体正常性への影響もないとの報告もありますが、その理由は明らかになっておらず、また胚盤胞の初期動態を移植選択基準とすることについても意見の一致を見ていません。
本研究は、過去に移植された胚のモニタリング画像を後方視的に観察して、初期分割動態と初期胚および胚盤胞移植妊娠成績(妊娠率および流産率)が関連するかを調査し、また、その機序を明らかにすることで、非侵襲的でより精度の高い胚の選択基準を構築することを目的とします。これらのことにより、体外受精-胚移植における移植胚選択基準の精度が高まり、不妊患者の早期の妊娠・出産につながることが期待されます。
- この研究の目的
対象:当院にて体外受精・胚移植などの生殖補助医療を施行された方。
目的:非侵襲的に良好胚を選択する基準を見つけること。
研究代表者:さわだウィメンズクリニック 澤田 富夫
研究実施施設:さわだウィメンズクリニック
研究責任者:さわだウィメンズクリニック 渡辺 真一
- この研究の方法
研究対象となった胚の発育の過程をタイムラプスモニタリング培養器で撮影された画像を用いて観察して、不規則な分割が観察された胚と、されなかった胚との間で、初期胚あるいは胚盤胞移植成績(妊娠率、流産率)を比較します。
また、不規則な分割によってできた細胞がその後胚盤胞に発育する率を、正常分割細胞の率と比較することで、不規則分割が胚の発育や妊孕性に影響する機序を明らかにします。
これらのことにより、胚動態の観察が非侵襲的な移植胚選択方法として有用であるかを検証します。
- この研究に参加しなくても不利益を受けることはありません。
この臨床研究への参加はあなたの自由意思によるものです。参加しなくても今後の治療で決して不利益を受けることはありません。またいつでも参加を取りやめることもできます。途中で参加を取りやめる場合でも、今後の治療で決して不利益を受けることはありません。
- あなたのプライバシーに係わる内容は保護されます。
試験を通じて得られたあなたに係わる記録が学術雑誌や学会で発表されることがあります。しかし検体は匿名化した番号で管理されるため、得られたデータが報告書などであなたのデータであると特定されることはありませんので、あなたのプライバシーに係わる情報(住所・氏名・電話番号など)は保護されます。
- 得られた医学情報の権利および利益相反について
本研究により予想される利害の衝突はないと考えています。本研究に関わる研究者は「厚生労働科学研究における利益相反(Conflict of Interest:COI)の管理に関する指針」を遵守し、各施設の規定に従ってCOIを管理しています。
- この研究は必要な手続きを経て実施しています。
この研究は、さわだウィメンズクリニック倫理委員会において医学、歯学、薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門家や専門以外の方々により倫理性や科学性が十分であるかどうかの審査を受け、実施することが承認されています。またこの委員会では、この試験が適正に実施されているか継続して審査を行います。
- データの二次利用について
研究終了後に今回収集したデータをこの研究目的とは異なる研究(今はまだ計画や予想されていないが将来重要な検討が必要となる場合など)で今回のデータを二次利用する可能性があります。利用するデータは個人のプライバシーとは結びつかないデータです。二次利用する場合にはあらためて研究倫理審査委員会での審査を受審した後に適切に対応します。
- 本研究について詳しい情報が欲しい場合の連絡先
この臨床研究について知りたいことや、ご心配なことがありましたら、遠慮なくご相談ください。
さわだウィメンズクリニック 連絡先 月~土 10:00~12:00 TEL(052)788-3588
- 短時間培養とタイムラプス観察による前核見逃しの防止と胚の妊孕性の評価の解析
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2017年1月より後、体外受精を実施したあなたの臨床データを研究のために用いさせていただくことについての説明文書
臨床研究課題名:短時間培養とタイムラプス観察による前核見逃しの防止と胚の妊孕性の評価
【当院で不妊治療を受けている皆様へのお願い】
研究に必要な臨床情報は、あなたの医療記録を利用させていただきます。改めてあなたに受診していただくことや、検査を受けていただく必要はありません。
情報提供を希望されないことをお申し出いただいた場合、あなたの情報を利用しないようにいたします。この研究への情報提供を希望されない場合であっても、診療上何ら支障はなく、不利益を被ることはありません。
- この研究を計画した背景
生殖補助医療において、卵子と精子を同じ培養液中で培養する、いわゆるConventional-IVF(C-IVF)と呼ばれる媒精方法では、媒精後20時間前後で卵子周囲の卵丘細胞を除去(裸化)し前核の確認(受精確認)を行います。
この受精確認では、前核2個を正常受精とし、1個あるいは3個以上を異常受精とします。異常受精胚は染色体異常である可能性が高く、移植しても多くが出産に至らず、特に3前核胚では胞状奇胎となるリスクもあり、正確な受精確認は極めて重要です。しかし、前核は媒精から21.9±3.0時間で消失するとされているため、従来の方法では確認前に前核が消失してしまい、その胚が正常受精であったのか確認できない場合があります。このような前核消失による見逃しが7~10%発生することが報告されており、当院でも約3%発生しています。この解決策として、従来より早い時間(4~5時間)での裸化を行い、胚の連続的撮影が可能な培養器(タイムラプスモニタリングシステム)で培養することにより、前核の見逃しが防止できると報告されています。
当院でもこれまでは従来の方法を行っていましたが、媒精約5時間後にタイムラプスモニタリングシステムが使用でき、培養室の業務時間上可能である場合には短時間媒精を行うようにしています。また、精子が存在する環境で卵子を長時間培養することによる卵子への負の影響も報告されており、媒精時間の短縮は培養環境を向上させる可能性があります。
本研究は、短時間の媒精が受精確認精度、受精成績、胚発生能、妊孕性の向上に繋がるかを検討するものです。
2.この研究の目的
対象:当院にて体外受精・胚移植などの生殖医療を施行された方。
目的:短時間媒精が受精確認精度、受精成績、培養成績、移植妊娠成績の向上に繋がるかを調べること。
研究代表者:さわだウィメンズクリニック 澤田 富夫
研究実施施設:さわだウィメンズクリニック
研究責任者:さわだウィメンズクリニック 松田 有希野
3.この研究の方法
採卵から受精成績、培養成績、移植成績を入力したデータベースを使用して、C-IVFを行った卵子のみを選別し、従来型媒精(媒精後20時間で裸化・受精確認を実施)を行った群と、短時間媒精(媒精後4~5時間で裸化し、タイムラプスモニタリングシステムで受精確認を実施)を行った群について、受精成績(正常受精、異常受精、不受精、前核不明に分類)、胚盤胞発生率、妊娠率、流産率を比較検討します。
4.この研究に参加しなくても不利益を受けることはありません。
この臨床研究への参加はあなたの自由意志によるものです。参加しなくても今後の治療で決して不利益を受けることはありません。またいつでも参加を取りやめることもできます。途中で参加を取りやめる場合でも、今後の治療で決して不利益を受けることはありません。
5.あなたのプライバシーに係わる内容は保護されます。
試験を通じて得られたあなたに係わる記録が学術誌や学会で発表されることがあります。しかし、検体は匿名化した番号で管理されるため、得られたデータが報告書などであなたのデータであると特定されることはありませんので、あなたのプライバシーに係わる情報(住所・氏名・電話番号など)は保護されています。
6.得られた医学情報の権利および利益相反について
本研究により予想される利害の衝突はないと考えています。本研究に関わる研究者は「厚生労働科学研究における利益相反(Conflict of Interest:COI)の管理に関する指針」を遵守し、各施設の規定に従ってCOIを管理しています。
7.この研究は必要な手続きを経て実施しています。
この研究は、さわだウィメンズクリニック倫理委員会において、医学、歯学、薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門家や専門以外の方々により倫理性や科学性が十分であるかどうかの審査を受け、実施することが承認されています。またこの委員会では、この試験が適正に実施されているか継続して審査を行います。
8.データの二次利用について
研究終了後に今回収集したデータをこの研究目的とは異なる研究(今はまだ計画や予想されていないが将来重要な検討が必要になる場合など)で今回のデータを二次利用する可能性があります。利用するデータは個人のプライバシーとは結び付かないデータです。二次利用する場合にはあらためて研究倫理審査委員会での審査を受審した後に適切に対応します。
9.本研究について詳しい情報が欲しい場合の連絡先
この臨床研究について知りたいことや、ご心配なことがありましたら、遠慮なくご相談ください。
さわだウィメンズクリニック 連絡先 月~土 10:00~12:00 TEL(052)788-3588 - ヒト胚のタイムラプス観察動態と染色体解析結果の関連の解析
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2013年1月から2021年3月に体外受精を実施したあなたの臨床データを研究のために用いさせていただくことについての説明文書
臨床研究課題名: ヒト胚のタイムラプス観察動態と染色体解析結果の関連の解析
【当院で不妊治療を受けている皆様へのお願い】
研究に必要な臨床情報は、あなたの医療記録を利用させていただきます。改めてあなたに受診していただくことや、検査を受けていただく必要はありません。
情報提供を希望されないことをお申し出いただいた場合、あなたの情報を利用しないようにいたします。この研究への情報提供を希望されない場合であっても、診療上何ら支障はなく、不利益を被ることはありません。
- この研究を計画した背景
生殖補助医療における体外受精では、胚を観察してその形態から妊孕能を推測して移植胚を選択していましたが、観察のためには胚を培養器の外に出す必要があり、培養環境が大きく変化し胚に悪影響を及ぼすことから通常は1日1回程度の観察による情報しか得ることができませんでした。
しかし近年普及が進んでいる胚のタイムラプスモニタリング(連続的観察)システムを備えた培養器によって、従来は困難であった胚の動的な観察が可能となり、細胞分割時の状態など胚の動態から非侵襲的に妊孕性を推測する試みが数多く行われています。
特に胚の初期動態はその後の胚発育や妊孕性に大きな影響があるとされます。胚の分割では通常1細胞が2細胞に分割しますが、3細胞以上になる不規則な分割や、一旦分割した細胞が融合する現象が時折見られます。発生初期にそのような分割が見られた胚は胚盤胞発生率および初期胚移植妊娠率が低下するとの報告があります。しかしそのような胚でも胚盤胞まで発育すれば移植妊娠率は低下しない、また染色体正常性への影響もないとの報告もありますが、その理由は明らかになっておらず、また胚盤胞の初期動態を移植選択基準とすることについても意見の一致を見ていません。
また、桑実胚期から胚盤胞期にかけての動態はほとんど検討されていません。16細胞程度まで発育が進行した胚は、細胞同士が接着融合(コンパクション)して桑実胚となります。このとき一部の細胞がコンパクションしない現象が観察されることがありますが、この現象の意義やその後の胚発育および胚の染色体正常性に及ぼす影響は明らかになっていません。また、コンパクションしなかった細胞がその後胚盤胞に取り込まれる現象もまれに観察されますが、この現象についても胚への影響は不明です。
本研究は、患者同意を得た廃棄胚を用いて、タイムラプスモニタリングされた胚盤胞の栄養外胚葉(TE)を数個生検し、NGS法を用いて染色体異数性を検査して、その結果と胚の動態(初期分割の正常性、および桑実胚期から胚盤胞期の動態)が関連するかを検討することにより、胚動態の観察が胚盤胞の移植選択基準となり得るかを明らかにすることを目的とします。これらのことにより、体外受精-胚移植における移植胚選択基準の精度が高まり、不妊患者の早期の妊娠・出産につながることが期待されます。
- この研究の目的
対象:当院にて体外受精・胚移植などの生殖補助医療を施行された方。
目的:非侵襲的に良好胚を選択する基準を見つけること。
研究代表者:さわだウィメンズクリニック 澤田 富夫
研究実施施設:さわだウィメンズクリニック
研究責任者:さわだウィメンズクリニック 渡辺 真一
- この研究の方法
研究対象となった胚盤胞の発育の過程をタイムラプスモニタリング培養器で15分に1回撮影された画像を用いて解析します。また胚盤胞からは栄養膜細胞(TE)を5~10個採取して、藤田医科大学総合医科学研究所分子遺伝学研究部門で次世代シーケンサー(NGS)解析を行います。その後、発育過程の動画とNGS解析結果との関連を解析します。
- この研究に参加しなくても不利益を受けることはありません。
この臨床研究への参加はあなたの自由意思によるものです。参加しなくても今後の治療で決して不利益を受けることはありません。またいつでも参加を取りやめることもできます。途中で参加を取りやめる場合でも、今後の治療で決して不利益を受けることはありません。
- あなたのプライバシーに係わる内容は保護されます。
試験を通じて得られたあなたに係わる記録が学術雑誌や学会で発表されることがあります。しかし検体は匿名化した番号で管理されるため、得られたデータが報告書などであなたのデータであると特定されることはありませんので、あなたのプライバシーに係わる情報(住所・氏名・電話番号など)は保護されます。
- 得られた医学情報の権利および利益相反について
本研究により予想される利害の衝突はないと考えています。本研究に関わる研究者は「厚生労働科学研究における利益相反(Conflict of Interest:COI)の管理に関する指針」を遵守し、各施設の規定に従ってCOIを管理しています。
- この研究は必要な手続きを経て実施しています。
この研究は、さわだウィメンズクリニック倫理委員会において医学、歯学、薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門家や専門以外の方々により倫理性や科学性が十分であるかどうかの審査を受け、実施することが承認されています。またこの委員会では、この試験が適正に実施されているか継続して審査を行います。
- データの二次利用について
研究終了後に今回収集したデータをこの研究目的とは異なる研究(今はまだ計画や予想されていないが将来重要な検討が必要となる場合など)で今回のデータを二次利用する可能性があります。利用するデータは個人のプライバシーとは結びつかないデータです。二次利用する場合にはあらためて研究倫理審査委員会での審査を受審した後に適切に対応します。
- 本研究について詳しい情報が欲しい場合の連絡先
この臨床研究について知りたいことや、ご心配なことがありましたら、遠慮なくご相談ください。
さわだウィメンズクリニック 連絡先 月~土 10:00~12:00 TEL(052)788-3588
- 人工知能による時系列画像を用いた受精卵の解析
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2014年1月から2018年3月に体外受精を実施したあなたの臨床データを研究のために用いさせていただくことについての説明文書
臨床研究課題名: 人工知能による時系列画像を用いた受精卵の解析
【当院で不妊治療を受けている皆様へのお願い】
研究に必要な臨床情報は、あなたの医療記録を利用させていただきます。改めてあなたに受診していただくことや、検査を受けていただく必要はありません。
情報提供を希望されないことをお申し出いただいた場合、あなたの情報を利用しないようにいたします。この研究への情報提供を希望されない場合であっても、診療上何ら支障はなく、不利益を被ることはありません。
1.この研究を計画した背景
体外受精・胚移植法は、一般不妊治療として広く行われるようになり、わが国では年間4万人の赤ちゃんが体外受精・胚移植などの生殖補助医療により生まれています。最近では、治療を受ける女性の高齢化などにより、何回治療してもなかなか妊娠に至らない例が増えてきました。体外受精・顕微授精による出産率は20歳代で約20%、加齢とともに減少し、40歳では8%に留まっています。出産率を向上させるための方法の一つとして、より美しい受精卵を選択することが考えられています。
近年、受精卵の培養過程は時系列によって観察されています。時系列画像によって非侵襲的に受精卵を調べるための研究は世界中で行われているが、現在のところ妊娠及び出産に至る良好な受精卵を画像から見分けるには至っていません。そこで受精卵の時系列画像を人工知能を用いて解析・比較することで、非侵襲的に良好な受精卵を解析できる手技の研究を考えました。
2.この研究の目的
対象:当院にて体外受精・胚移植などの生殖補助医療を施行された方。
目的:非侵襲的に良好な受精卵を選択する手技を見つけること。
研究代表者:名古屋市立大学大学院医学研究科 産科婦人科 杉浦真弓
研究実施施設および各施設研究責任者:名古屋市立大学病院 杉浦真弓
さわだウィメンズクリニック 澤田富夫
3.この研究の方法
胚移植にて妊娠成立し出産にまで至った受精卵と妊娠に至らなかった受精卵の時系列画像を人工知能を用いて解析・比較します。なお当研究は名古屋市立大学大学院医学研究科の産科婦人科、豊田工業大学の知能情報メディア研究室との共同研究として行います。
4.この研究に参加しなくても不利益を受けることはありません。
この臨床研究への参加はあなたの自由意思によるものです。参加しなくても今後の治療で決して不利益を受けることはありません。またいつでも参加を取りやめることもできます。途中で参加を取りやめる場合でも、今後の治療で決して不利益を受けることはありません。
5.あなたのプライバシーに係わる内容は保護されます。
試験を通じて得られたあなたに係わる記録が学術雑誌や学会で発表されることがあります。しかし検体は匿名化した番号で管理されるため、得られたデータが報告書などであなたのデータであると特定されることはありませんので、あなたのプライバシーに係わる情報(住所・氏名・電話番号など)は保護されます。
6.得られた医学情報の権利および利益相反について
本研究により予想される利害の衝突はないと考えています。本研究に関わる研究者は「厚生労働科学研究における利益相反(Conflict of Interest:COI)の管理に関する指針」を遵守し、各施設の規定に従ってCOIを管理しています。
7.この研究は必要な手続きを経て実施しています。
この研究は、公立大学法人 名古屋市立大学大学院 医学研究科長および名古屋市立大学病院長が設置する医学系研究倫理審査委員会およびヒト遺伝子解析研究倫理審査委員会(所在地:名古屋市瑞穂区瑞穂町字川澄1)において医学、歯学、薬学その他の医療又は臨床試験に関する専門家や専門以外の方々により倫理性や科学性が十分であるかどうかの審査を受け、実施することが承認されています。またこの委員会では、この試験が適正に実施されているか継続して審査を行います。
なお、本委員会にかかわる規程等は、以下、ホームページよりご確認いただくことができます。
名古屋市立大学病院 臨床研究開発支援センター ホームページ “患者の皆様へ”
http://ncu-cr.jp/patient
8.本研究について詳しい情報が欲しい場合の連絡先
この臨床研究について知りたいことや、ご心配なことがありましたら、遠慮なくご相談ください。
名古屋市立大学病院 臨床研究開発支援センター
連絡先 平日(月~金) 8:30~17:00 TEL(052)858-7215
さわだウィメンズクリニック
連絡先 月~土 10:00~12:00 TEL(052)788-3588 - 日本産科婦人科学会PGT-A多施設共同臨床研究への参加が承認されました
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この度当院は、日本産科婦人科学会より、R1年12月26日付けにてPGT-A多施設共同臨床研究への参加が承認されました。
着床前診断とは
PGT-SR、PGT-M、PGT-Aと分類されています。
その中で、今回実施される臨床研究はPGT-A(着床前染色体異数性診断)です。
PGT-Aとは受精卵の染色体の数の異常がないかをみる検査です。
受精卵を培養し始めてから5日目または6日目になると図のような胚盤胞と呼ばれる段階まで育ってきます。
この胚盤胞の外側の細胞の一部をとって検査します。
適応基準
①反復不成功:直近の胚移植で2回以上連続して臨床妊娠が成立していない
②習慣流産(反復流産):直近の妊娠で臨床的流産を2回以上反復し、流産時の臨床情報が得られている
③染色体構造異常:夫婦いずれかが染色体構造異常を持つ
※適応基準の詳細・費用については説明が必要ですのでご来院ください
着床前診断をご希望の方はお問合せください。
- 研究活動について
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当院では、治療成績の向上や不妊治療・生殖医療の発展を目的として、データの収集・研究に取り組んでおります。
具体的な研究としては、NGS(next generation sequencer;次世代シークエンサー)による染色体数についての解析です。藤田保健衛生大学総合医科学研究所 分子遺伝学研究部門教授 倉橋浩樹先生に遺伝子解析を委託し、研究を行っております。
染色体数の解析は、ロバートソン転座などの患者様を対象としたPGD診断と、全染色体の数的異常を検出し、着床しやすい胚を選択するPGS(着床前遺伝子スクリーニング)と大別されます。PGDに関しては、ブログをご参照ください。
PGS、いわゆる着床前診断とは受精卵の段階で、染色体数的異常の診断を目的とする検査です。近年のPGSの検査方法は、従来行われていたアレイCGHに代わり、胚盤胞期胚の細胞の一部から抽出したDNAを全ゲノム増幅し、NGSを用いて解析する方法が主流となりつつあります。
受精卵の染色体異常は流産の大きな原因となります。この検査を行うことにより流産の原因になる受精卵の染色体異常(染色体の過不足)を検出します。この染色体異常は相互転座など患者さま自身がもともと持っている染色体異常が原因の場合もありますが、偶発的に起こる染色体の過不足(異数性異常)も多く、年齢が上がればその頻度も増えていきます。
PGSを行い正常と判定された受精卵を移植することにより、流産の確率を下げることが期待でき、つらい流産を繰り返された患者さまにとって身体的、精神的負担の軽減につながることが考えられます。
着床前診断の実施には、各国それぞれの社会情勢、それぞれの国の倫理観があるため、対応には慎重にならざるを得ず、それはわが国も同様です。海外ではすでにNGSを用いたPGS が主流となりつつありますが、日本では現在、安全性や有効性、倫理的な観点から、着床前診断の実施について、まだ臨床応用が認められていません。
我々は、研究を通して臨床的背景との関係性を明らかにし、基礎的なデータを集めることで患者さまの妊娠・出産に大きく貢献できるよう励んでいます。